コーヒーのドリップ中にドリッパーをくるくると回すことを、「ラオスピン(rao spin)」と呼ぶことがあります。
自分の理解もまだ浅いですが、整理も兼ねてまとめておきたいと思います。
このテクニックには、コーヒー業界で有名なスコットラオ(Scott Rao)氏の名前が冠されていますが、この技術を開発した本人ではありません。
この技術が広まるきっかけとなった彼の名前がついていると思われます。
スコットラオってどんな人?
スコットラオ氏はコーヒーコンサルタントで本の著者です。
彼は、コーヒーの事業を売却後、コーヒーを美味しくするための技術を広めるため、本を執筆しました。
彼の著書には『The Professional Barista’s Handbook』、『Everything but Espresso』、『Espresso Extraction: Measurement and Mastery』『The Coffee Roaster’sCompanion』があります。
コーヒー業界に大きな影響を与え続けている方です。
コーヒーが好きな方は著書を読んだことがあるかもしれませんね。
たまにカフェに置いてあるのも見かけます。
ラオスピンとは
ラオスピンとは、コーヒーのドリップの際、ドリッパー内の粉と水を回転によって攪拌するテクニックです。
回転とはいっても、元々はお湯を注ぐ勢いでドリッパー内の液体を攪拌するものでした。
現在ではドリッパーごと回転させることをラオスピンと表現するようになりました。
ラオスピンのメリット
ラオスピンで得られるメリットは、
- 不均一な抽出の原因となるチャネリング(コーヒーの粉の間に水が通りやすくなる道、チャネルができてしまうこと)を防ぐこと
- ドリッパーの側面についた粉を下に落とし、フラットベッド(ドリップし終わった後の粉が平らになっている状態)を作ることで均一な抽出ができること
蒸らしの際に乾いた部分が残ってしまうと、水はその部分を避けて通ってしまいます。
蒸らしの際にラオスピンを行うことで、空気を押し出し、均一に抽出することができます。
「フラットベッドが本当に均一な抽出につながるか」については考える余地があり、課題としたいと思います。
デメリット
ラオスピンを過度に行うと、フィルターが詰まってしまい、液体が落ちるのが遅くなってしまいます。
これにより、過度な抽出が行われる可能性があります。
情報源
自分が集めた情報についてまとめておきたいと思います。
Barista Hustleによると、2016年以前はお湯を注ぐ勢いでドリッパー内の液体を回転させる手法を指しており、過去のMatt Perger氏の動画内でも注ぎによって回転させています。
Hario V60 Pour Over by Matt Perger from Matt Perger on Vimeo.
ラオスピンについて、Scott Rao氏とJonathan Gagné氏が共同でブログを書いています。
Why Spin the Slurry ? – Coffee ad Astra
上記ブログを元に簡単な実験を行ったのが以下のブログ。スピンにより微分が底に溜まり、フィルター下部が目詰まりしても、微分が洗い流されたフィルター上部から液体が流れると考察しています。
The Rao Spin – Barista Hustle Blog
最後に
蒸らしの際にしっかり攪拌しガスを抜くことで、チャネリングを防ぐのに役立つでしょう。
特に挽き目が細かい場合はチャネルができやすいので、有効な手段だと思います。
何のためにそれをするのか、しっかり理解して抽出することで、より深く理解し、よりコーヒーを楽しめると思います!